そろばんには、暗算や計算力を高める効果があります。しかし、それ以外にも「ひらめきやイメージ力がつく」「判断力が強くなる」などざまざまなメリットがあると言われています。ここでは、そろばんによって得られる効果やメリットをお伝えします。

そろばんの効果とは
そろばんを習うことでの、最も代表的な効果は「右脳」を鍛えられることです。
最近の研究で、そろばんで身につく「珠算式暗算」という計算法が、右脳を活性化させるための脳トレで、最も有効な手段のひとつだと分かってきました。
これまでも珠算式暗算が右脳が活性化される習い事として注目されてきましたが、最近ではさらに研究が進み、脳トレのためにはそろばんが最も有効な手段の一つとして内外で取り上げられています。
引用:日本珠算連盟
右脳が活性化することで空間認識能力が身につく
右脳は、空間認識能力(物の位置、形などを把握する力)をコントロールする分野だと言われています。空間認識能力は、日常生活のあらゆる場面で必要になる能力で、次のように働きます。
- 目の前にある物を取る
- 狙った場所に物を投げる、受け取る
- 前から来た人や車をよけて危険を回避する
- 絵や図を描く
- 地図を読んで位置や方向を確認する
- 自転車や車などの乗り物を操縦する
もちろん、算数(数学)などで使われる図形の認識でも必要です。また、空間認識能力を鍛えることで、間接的には発想力や記憶力、集中力の向上にもつながります。
そろばんで身につく「珠算式暗算」が右脳を鍛えるのに効果的
そろばんにおいて右脳がはたらくのは「珠算式暗算」をしているときと言われています。
珠算式暗算とは、頭の中でそろばんをイメージして、計算を解くスキルです。頭の中のそろばんで計算結果をはじき出す感覚で行っているので、右脳が活性化しやすいのです。
最近までに、大脳生理学と脳の血流を精密に測定できる機器の開発により、珠算式暗算が右脳活性化に極めて有効であることが実証されるようになり、これまでの推論の正しいことが明らかとなりました。

一般的に人は生まれたときには「右脳中心」で働き、成長に伴う言語の習得などにより優位性は右脳から左脳へと変化していき、自然と「右脳の能力」は閉じていきます。
その右脳の能力を閉じないようするために、日々そろばんで脳トレをすることによって能力の低下を防ぐことが可能になります。
このように、そろばんには計算が早くなったり暗算できるようになること以外にも、さまざまな効果があるのです。

そろばんを習う10個のメリット
さて、ここまでそろばんを習うことで右脳が鍛えられる効果があることについて説明しました。ここからは、右脳が活性化することよる具体的なメリットを紹介します。主に以下の10個があります。
これら10個のメリットについて、次の項目で詳しくご紹介します。
創造力、発想力、ひらめき力、イメージ思考が身につく
右脳は想像を司る脳です。活性化させることで創造力、発想力、ひらめき力、イメージ思考など、芸術センスの向上につながります。
脳には右と左があり、右脳は感性脳・イメージ脳、左脳は言語能・論理脳といわれています。
引用:七田式教育公式サイト
頭の中でイメージしたものを描き出したり、音楽にしたりして、あらゆるかたちで表現できるようになるわけです。
また、イメージ思考により視野を広く、物事を俯瞰して見ることができるようになります。
頭の回転がよくなる(情報処理能力が早くなり、判断力が増す)
右脳は情報を素早く処理する能力を司ります。
「右脳」は、ひらめきやイメージ、調和などをつかさどる脳です。(中略)また、高速処理も大きな特徴です。
右脳を鍛えることによって、情報を素早く処理し、素早い判断ができるようになります。
つまり、頭の回転がよくなるわけです。頭の回転が速いひとは、右脳のはたらきが活発なんですね。
記憶力が増す
右脳は物事を「イメージ情報として記憶」します。イメージでの記憶はとても強く、左脳の「言語による記憶」に比べて数千倍もの情報を覚えられると言われています。
右脳の記憶力は、左脳の数千倍以上といわれ、膨大な量の情報
を高速で処理することができ、
さらに一度インプットされた情報は消えずに残ります。
「珠算式暗算」は頭の中にそろばんを「イメージ情報として記憶」するため、右脳のはたらきを活性化させ、「イメージ情報として記憶」する力を高めることができます。記憶力がよくなるわけですね。
集中力が増す
記載されている、読みあげられる、表示される数字を素早く認識し、珠を弾き、限られた時間内で答えを出すのがそろばんです。
想像してみると、とても集中力が必要ですよね。
そろばんを習うことで集中力が増しますし、解けたらすぐに次の問題へ、と頭の切り替えが早くなります。
算数(数学)の能力が上がるのはもちろん、集中力が増すことでケアレスミスを防ぐことができ、中学や高校の受験にも役立ちます。
偏差値40台から、ほとんど塾に行かずに開成中学に合格したぎん太さん。(中略)上の弟は僕とは段違いに算数ができます。たくさんの要因を思いつきますが、差が開き始めたキッカケは母曰く「そろばん」だったそうです。
とある大手塾では、幼児を対象にしたそろばん授業を、実際の授業が始まる少し前に取り組んでいるくらいなんですよ。

忍耐力が身につく
そろばんは検定試験の合格、級位・段位の取得という目標に向かって努力する習い事です。
すべての検定試験に一発で合格できることはないでしょう。子どもが落ち込むこともあるかもしれません。しかし、それでいいのです。
目標達成のために努力し、失敗を経験し、あきらめずに努力することで、子どもは「忍耐力」を身につけることができます。
そろばんを習うメリットは、実は計算が速くなることだけではありません。「集中力」「忍耐力」「情報処理能力」など、現代社会を生きていく上で必須ともいえるスキルを磨くことができるのです。
自己肯定感が高まり、自分に自信が持てる
目標達成のために努力し、成功を積み重ねることにより、子どもは「自分は努力すれば成功する」、いわゆる「やればできる子だ」という自己肯定感を持ち、自分に自信を持てるようになります。
自己肯定感とは、文字どおり「自分を肯定する感覚」のことです。 この感覚は、生きていくうえで揺るぎない自信になります。
自己肯定感は能力を高めるだけではなく、子どもの人間性を豊かにします。
やる気、向上心が高くなる
手、とくに指を動かすことで、脳の「前頭葉」が刺激されます。
前頭葉はやる気にかかわる脳であり、前頭葉が活性化することでやる気が高まり、向上心が高くなるのです。
人間の向上心を司っているのは前頭葉ですから、(後略)
引用:高齢になっても脳を健康に保つ特効薬/著者:和田秀樹
そろばんは指を使う習い事です。なので、前頭葉の活性化に効果があるといわれています。
算数(数学)の苦手意識がなくなる
算数(数学)に苦手意識を持つ子どもは多く、学研教育総合研究所によると、小学生が嫌いな教科の第1位は算数です。
反面、好きな教科の第1位も算数であり、算数は苦手意識を持ちやすく、好きにもなりやすい教科だといえます。
そろばんを習うと、数字や計算が身近なものになります。早くから数字や計算に触れることで、算数への苦手意識を持ちにくくなります。
国語力が上がる
実は、そろばんは国語の成績アップにもつながるという効果があります。
子どもの頃からそろばんを続けて習っている人は創造力、発想力、ひらめき力、イメージ思考が養われているため、国語の文章を頭の中でしっかりとイメージすることができます。
国語の文章を自分なりに解釈し、作者が思い描いていたであろう光景を頭の中に作り出し、イメージを使って答えを導き出すことができるので、結果的に国語の能力が上がっていると考えられます。
実際には目の前にないものや、これから起こることを経験から予想するなどする力、イメージを引き出すのは右脳の役目です。右脳のトレーニングにより、イメージ力、創造力など豊かな発想が生まれてくるのです。
厳密にいえば、「そろばんを学ぶと相対的に国語の能力が上がっていく」というのはちょっと違うと思います。私はそろばんをマスターしても、しばらくは国語が苦手でした。
なので、「そろばんを学ぶと国語の能力が上がる」のでなく、「国語の能力を身につけるきっかけになる」というのが正しいのではないかと思います。
端的にいうと、国語には漢字や四字熟語なども含まれているので、国語の成績(偏差値)を上げたい場合は、そろばんではなく国語の勉強をしないといけません、ということです。
認知症予防になる
「子ども」に習わせるメリットとは違いますが、そろばんを習うメリットとして紹介しておきます。
そろばんは手、それも指を使っておこないます。手や指は「第二の脳」ともいわれ、手や指を動かすことで脳が刺激されます。
指を動かし、脳が刺激されることで血流量が増加し、認知症予防に効果があると言われているのです。
そろばんは指を使います。指を使うことで血流量が一段と増加し、認知症予防の効果があるのではと考えております。
指を動かすことで刺激を受けるのが「前頭葉」です。前頭葉は向上心だけではなく、人間らしさ、認知機能をもつかさどる脳でもあります。
また、東北大学未来科学技術共同研究センターの脳科学の専門家、川島隆太教授の研究によると、単純計算は脳のはたらきを活発にすることが明らかになっています。
著者の川島隆太教授は、単純計算や音読による”読み・書き・計算”で、脳全体が活発に働き、脳を最大限鍛えることができることをプレインイメージング研究により科学的に実証しました。
引用:川島隆太教授の脳を鍛える大人の計算ドリル
そろばんで指を動かして、単純計算によって脳を、前頭葉を刺激して活発にすることで老化防止、認知症予防に効果があるというわけです。
そろばんを習えば学力が上がるわけではない
そろばんには多くのメリットがありますが、学力アップに直接効果があるわけではありません。
鍛えるのが難しい能力を伸ばすことはできますが、国語や英語をそろばんで解けるわけではありませんし、算数もそろばんのような計算問題だけではありません。
学力(偏差値)は、そろばんの練習ではなく、日々の勉強の積み重ねでしか上げられないのです。
ただ、間接的には効果があります。
そろばんを習うことによる間接的な学力アップ効果
私は昔からそろばん教室に通い、そろばんができるほうだと自負しています。
とはいえ、私の偏差値は55くらいです。55というのは平均的な数値で、偏差値が良いほうとは言えません。
しかし、メリット8「算数(数学)の苦手意識がなくなる」でも紹介したように、多くの子どもは算数、つまり計算や図形、グラフなどに苦手意識を持ちます。
私は苦手と感じることは、ほとんどありませんでした。
一緒にそろばん教室に通っていた友達も、図形などのテストの点数は比較的よかったことを覚えています。
そろばんは学力アップに直接効果があるわけではありませんが、そろばんをやっている人とやっていない人では育んできた基礎能力のスタートラインが違うので、間接的には学力アップに効果があると感じています。
そろばんは大人からでも効果あるのか
そろばんは大人になってからでも遅くはありません。もちろん、ご紹介した効果・メリットもあります。
そろばんは数千円しかかからないので、一度試してみて自分の中で得るものがあれば続ければいいですし、自分に向いていないと思えば辞めればいいだけです。あまり難しく考える必要はありません。
大人がそろばんを始めるきっかけとして以下のような理由が多くなっています。
子どもの頃に習っていたが、もう一度学び直したい
脳トレとしてそろばんを習いたい
手軽に始められる


今では、いつでも始められて、すぐにやめられる「オンラインそろばん教室」もあります。
手軽に試すことができるので、これからそろばんを始めようと考えている方は、ぜひ候補に入れてみてください。

【まとめ】そろばんで身につくもの
この記事では、そろばんを子どもに習わせることによる効果・メリットを紹介しました。
そろばんの効果・メリットは計算が早くなることや、暗算ができることではなく、右脳が活性化することで「イメージ思考が身につく」ということがそろばんの魅力です。
イメージ思考ができるひとは頭の回転が速く、仕事がデキる人になるわけですね。
デキる人たちは、脳の機能をフル活用することで、最短で解決法を見つけたり、即決で判断できたり、斬新なアイデアを生み出したり、効率よく仕事をしたり、複数のことを同時に回したり……しているわけです。
あなたも自分の子どもが優秀な人材であれば、親としてはホッとしますよね。
幼いころは右脳を積極的に使っていますが、義務教育では左脳を積極的に使い、右脳の能力は衰えていきます。視野が狭くなったり、頑固な性格になったりするかもしれません。
右脳を活発にし、脳のバランスを取り、イメージ思考を身につけることができるそろばんはオススメの習い事のひとつです。

コメント
いやいやいやいやいやいやいやーーーーーー、そんなことないでしょーねーぜんいちきゅーん
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