そろばん1級はどのくらいの人が合格しているのでしょうか。この記事ではそろばん1級の合格者数・合格率・難易度をまとめました。
そろばん検定は主催する団体によって名称が違う
まず、そろばん検定と一言で言っても、主催する団体によって名称が異なります。
そろばん検定試験はひとつしかないわけではなく、主催する団体によって複数あり、合格基準もそれぞれ違います。
そろばん検定の種類を3つ紹介します。
検定の名称 | 主催 |
---|---|
①珠算能力検定試験 | 日本珠算連盟・日本商工会議所 |
②珠算検定試験 | 全国珠算教育連盟 |
③全国珠算技能検定試験 | 全国珠算学校連盟 |
それぞれ解説します。
①珠算能力検定試験(日本珠算連盟・日本商工会議所主催)
珠算能力検定試験は、日本商工会議所と日本珠算連盟が主催しています。
級によって主催の団体が異なり、
- 10級~7級:日本珠算連盟主催・日本商工会議所後援
- 6級~1級:日本商工会議所主催
- 準1級~準3級:日本珠算連盟主催・日本商工会議所後援
このように10級~7級と準1級~準3級は日本珠算連盟が、6級~1級は日本商工会議所が主催の団体となります。
ですので、日本珠算連盟主催の試験は『日珠連珠算能力検定試験』、日本商工会議所が主催する試験は『日商珠算能力検定試験』と言われています。
平成14年4月から、日商珠算能力検定試験(1~6級)、日珠連珠算能力検定試験(7~9・10級)の試験内容がリニューアルされています。
②珠算検定試験(全国珠算教育連盟主催)
2つ目の検定試験は、全国珠算教育連盟が主催する『珠算検定試験』です。文部科学省が後援です。
級位の検定試験の中で唯一15級~11級を設定しており、15級~1級と15段階のレベルに分かれています。
準3級から準初段は奇数月、15級~4級は毎月の最終日曜日に受験します。ですので、1級の場合は、2か月に1回、奇数月に受験することになるわけです。
試験は段位~準3級は2ヶ月に一度奇数月に、4級~15級は毎月、最終日曜日(地方により変更などあり)に開かれる。
③全国珠算技能検定試験(全国珠算学校連盟主催)
最後に紹介する検定試験は、全国珠算学校連盟が主催する『全国珠算技能検定試験』です。3つの検定試験の中で、“全国”と付いている唯一の試験です。こちらも後援は文部科学省です。
珠算能力検定試験と同様に10級から1級に分かれており、準3~準1級も受験可能です。
そろばん検定1級の合格者数と合格率
公開されているそろばん検定1級の合格者数と合格率を紹介します。
残念ながら、全国珠算教育連盟の珠算検定試験と、全国珠算学校連盟主催の全国珠算技能検定の合格者数と合格率は公表されていませんでしたので、珠算能力検定試験の合格者数と合格率を確認してみましょう。
珠算能力検定試験1級の合格者数と合格率(2023年最新)
2023年2月12日に主催した第227回珠算検定・6月25日に主催した第228回珠算検定の、1級合格者数と合格率が日本商工会議所から発表されました。
第227回の1級受験者数は7,757人、第228回の1級受験者数は6,960人でした。合格者数は第227回:2,211人・第228回:1,970人でした。
これら2回分の受験者数と合格者数をまとめると、以下のようになります。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 14,717人 | 4,181人 | 28.4% |
10月22日にも試験があるため多少変動するとは思いますが、合格率は大体28%くらいです(第227回で28.5%・第228回で28.3%)。
珠算能力検定試験1級の合格者数と合格率(2021~2023年)
参考までに、2021~2023年:3年間分の合格者数と合格率を見てみましょう。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年 | 21,292人 | 6,084人 | 28.6% |
2022年 | 23,381人 | 6,939人 | 29.7% |
2021年 | 23,512人 | 7,559人 | 32.1% |
2021年の合格率は32.1%でしたが、2022年は29.7%に減少。2023年には28.6%と更に減少しました。2021年から毎年合格率が下がっているため、難易度が上がっていることが分かります。
そろばん検定1級の難易度は?
そろばん検定1級の難易度は、公表されていません。
どのくらいの難易度なのか、
- そろばん検定1級の種目と合格ライン
- 1級の合格者数と合格率
これら2つの点から考察してみました。
そろばん検定1級の種目と合格ライン
そろばん検定1級の種目と合格ラインを、各試験ごとに解説します。
珠算能力検定試験の種目と合格ライン
珠算能力検定試験1級の種目は、
- 見取り算(10題):10口110字
- 掛け算(20題):法実合わせて11桁
- 割り算(20題):法商合わせて10桁
これら3種目です。
珠算能力検定試験は級が変わっても種目が変わることは無く、桁数が増えます。制限時間も30分と変わりません。
1種目で満たすべき点数は設定されていないので、3種目合計の点数で判断されます。極端に言えば、見取り算100点・掛け算85点・割り算55点でも合格します。全体を1種目と考えて、平成14年以降はこのような基準に改定されました。
平成14年度からの新しい検定制度では、全体を1種目と考えていることから、最低点は設けていません。
珠算検定試験の種目と合格ライン
珠算検定試験1級の種目を見ていきましょう。
- 見取り算(10題):15口120字
- 掛け算(20題):法実合わせて11桁
- 割り算(20題):法商合わせて10桁
- 伝票算:4~9桁の加算
- 暗算
- 応用計算
上記6種目すべて受験するのではなく、伝票算・暗算・応用計算の中から2種目を選んで受験します。ですので、全部で5種目ですね。
150点満点×5種目=750点のうち、5種目とも100点=500点取ることが求められます。全体で1種目とは考えないため、どの種目も100点以上と満遍なく点数が取れるように対策しなければなりません。
全国珠算技能検定の種目と合格ライン
最後に、全国珠算技能検定1級の種目と合格ラインについてです。
- 見取り算:10口80字
- 掛け算:法・実合わせて11桁
- 割り算:法・商合わせて10桁
- 伝票算:5~9桁の加算
これら4種目です。
珠算能力検定試験と同じで、すべての種目の点数を合わせて判断されます。
しかし、最下点も設けられており、1種目50点以下を取ると総合点が280点以上でも不合格になるので注意しましょう。
合格者数・合格率から見る1級の難易度
難しいと感じる基準は人それぞれ違うため、先ほどの合格ラインと、前述の合格者数・合格率から考えてみましょう。
検定試験ごとに種目や合格ラインが異なりますが、より分かりやすく数字でまとめてみました。
- 珠算能力検定試験1級:300点満点中、総合点240点以上(80%以上)
- 珠算検定試験1級:150点満点が5種目、750点のうち500点以上(66.6%以上)
- 全国珠算技能検定試験1級:400点満点中、総合点280点以上(70%以上)
珠算能力検定試験1級は3種目のみと一番種目数が少ないですが、80%の正答が求められ、合格率も30%を切っていることから最も難しい試験と判断してよいでしょう。
また、全国珠算教育連盟が主催する珠算検定試験2段は、珠算能力検定試験1級に相当するレベルだと言われています。珠算能力検定試験1級が、いかに難易度が高いか分かりますね。
全珠連の2段が日商の1級に相当するといわれています。
そろばん検定1級の合格者数と合格率・難易度まとめ
そろばん検定1級の合格者数と合格率、そして種目と合格ラインから難易度を考察しました。
同じそろばん検定1級でも主催団体で種目や合格基準はすべて異なり、数字で分析したところ、日本商工会議所が主催する『日商珠算能力検定試験1級』が一番難しい試験です。
通っているそろばん教室によって実施している試験は異なりますが、履歴書に書いても評価される『日商珠算能力検定試験1級』の合格を目指しましょう。
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