そろばんを習うと右脳が鍛えられると言われていますが、それは事実です。ここでは、そろばんによって右脳が活性化する理由と根拠を解説します。
そろばんで右脳は鍛えられる!活性化する理由とは?
そろばんで右脳が鍛えられる・活性化する理由には、どのような根拠があるのでしょうか。
以下、3点が挙げられます。
- 指先を動かしているから
- 脳も同時に動かすから
- 頭でそろばんの珠をイメージして答えを出すから
1つずつ確認していきましょう。
理由①指先を動かしているから
そろばんは珠を入れて計算するため、計算時は常に指先を動かしています。この指先が右脳のトレーニングとなり、活性化することが分かっています。
右手の親指と人差し指の2本だけですが、右脳のトレーニングになるとは驚きですね。
(中略)「指先トレーニングが、シナプスの絡みを促し、ニューロンネットワークを構築する」と、林 寿郎教授(大阪府立大学)が力説されています。
理由➁脳も同時に動かすから
数字を見ながらそろばんの珠を入れていくという手先(指先)の動きだけでなく、脳でも数字を記憶して考えるという二つの動きを同時に行なうことで、さらに右脳が活性化しています。
特に数の記憶に関しては、『右脳が強く』関与していることもデータで明らかになっています。
以下は、そろばんの熟達者に「そろばんを頭に浮かべて暗算」してもらう際に、右脳の関与が左脳に比べてどのくらい大きくなるかを検証した結果です。
・・本実験の結果は、珠算非熟達者が計算時に左脳の方を強く関与させていたのに対して、珠算熟達者は計算時に右脳を関与させていたことになる。(中略)
‥珠算熟達者では、数の記憶において心象を媒介とした方略を用い、計算課題の実行に、右半球の強い関与をうかがわせた。(中略)
そろばんの珠を頭にイメージして暗算することで、右脳が大きく働いて関与していることがデータとしてはっきりと証明されているのです。
理由③頭でそろばんの珠をイメージして、答えを導き出すから
そろばんを習い続けていると必ず行う、珠算式暗算。これは学校で行なう筆算の計算では無く、頭の中でそろばんの珠をイメージして計算する方法です。
小さい頃からそろばんを習っている子は、数字の4を見ればそろばんの珠が4つ上がっていることを瞬時にイメージできます。発想・イメージする力などは右脳から来ているので、珠をイメージすることでより右脳を活性化することに繋がります。
中学生が何桁もの暗算に取り組んでいるとき、ベータ波は左の側頭にはほとんど現れず、右後頭部に大きく現れていたのです。つまり、右脳で計算していることになります。(中略)
その後、別の大会で日本一になった女性を計測したときにも、ほとんど同じようなパターンが(中略)高位有段者の方々にお願いして実験してみたところ、多少のばらつきはあれ、ほとんど同じような結果でした。
右脳と左脳、それぞれの働きの違いとは?
そろばんを通して右脳が鍛えられて活性化する、その根拠が理解できましたね。
ではそもそも、右脳と左脳では何が違うのでしょうか?この章では、それぞれ働きの違いについてまとめました。
右脳の働き
まずは右脳の働きから確認しましょう。
- 直感やひらめき
- 想像力
- 見たままを記憶する
- イメージを描く
- 空間を認知(認識)、全体像の把握
デザイナーや音楽家などは、右脳をよく使っています。
そろばんも同様で、そろばんを頭に浮かべることで=見たままを記憶する・イメージを描いて全体像を把握していることになるわけです。
左脳の働き
続いて左脳の働きです。
- 言語野計算
- 分析する力
- 理論的に物事を考える
- 現実的に判断する
五感(見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れる)も、左脳の働きです。筆算はもちろん暗記の計算なども、左脳が動いています。
それぞれで働きは異なりますが、右脳と左脳は無意識に状況・動きによって使い分けて動くことで表現したり言葉を発したりなどができているのです。
左脳はデジタル脳ともいわれ、読み書き、演算、論理的な思考などを司り、右脳はアナログ脳として、立体感覚や創造性、芸術感覚などを司り、両脳が互いに協力して人間らしい活動をしています。
右脳が活性化することで得られる効果・メリット

右脳が活性化することで得られる効果・メリットをまとめました。
- 記憶力が高められる
- コミュニケーション力がアップする
- 右脳と左脳をバランスよく鍛えられる
- 情報処理能力も向上する
それぞれ詳しく確認していきましょう。
メリット①記憶力が高められる
左脳は数や言語の処理をつかさどっているため、記憶できるものの右脳ほど得意ではありません。
イメージで記憶する右脳の(記憶)容量は、なんと左脳の数千倍だとも言われています。ですので、そろばんを通して右脳を鍛え活性化することで=記憶力を高めることができるのです。
受験勉強にも役立つ
記憶力を高めることができると、受験勉強にも役立ちます。
左脳だけで覚えるのには限界があるため、イメージそのままで記憶する右脳を活性化することで暗記できる容量が格段にアップするのです。
右脳を使った受験勉強はあまりしませんが、これは非常にもったいないことなのです。なぜなら、右脳の記憶力は左脳の10倍以上もあるからです。
<中略>
たとえば、日本史や世界史の「マンガ参考書」を使って、セリフ(=歴史用語)とマンガ(=人物)を同時に覚える。あるいは、教科書の内容を音読してICレコーダーに録音し、それを聴いて勉強する。つまり、左脳は言語として暗記し、右脳は「聴こえたまま」を音として暗記するのです。
メリット➁コミュニケーション力がアップする
右脳を鍛えられたら、コミュニケーション力もアップします。たくさんの言葉を記憶・インプットすることで語彙力があがって、他人とスムーズに意思疎通できることが分かっています。
たくさんの言葉を無意識にインプットすることで、語彙力がアップし‥(中略)言葉が多いと周りの人との意思疎通がきちんとできるようになり、コミュニケーション能力がアップします。
メリット③右脳と左脳をバランスよく鍛えられる
子どもにとっては、そろばんを習うことで右脳を左脳の両方をバランスよく鍛えられることもメリットです。
というのも、学校教育では、受験勉強を見据えて学習するため、どうしても左脳優位になりやすい傾向があるからです。
学校での教育は左脳重視。日本語も左脳で話している
学校では、算数・数学などの計算や国語などの言語力など”左脳”が動く授業がたくさん実施されています。
イメージ力や感性などが養われる図工や音楽などの授業は少なめで、中学からは選択授業になったりと、さらに”右脳”が鍛えられる機会が減っています。
また私たちが普段話している日本語も、左脳で話しているんですよ。
日本人は日本語を左脳で話すために、日本語をマスターしながら左脳はどんどん強くなっていきます。それに対して欧米人は言語マスターに右脳も大きく活動させるため、本来、右脳が強くなります。
現代人の8割は左脳を使いすぎている
実は、現代人の8割は左脳を使いすぎていると言われています。
実は、現代人の8割は左脳を使いすぎています。小学校、中学校と義務教育を受け、10代半ばで高校受験を経験します。
<中略>
このような「左脳化生活」を続けていくことによって、左脳化は「左脳グセ」として脳にしみついてしまうのです。
「左脳グセ」がしみついた脳は、左脳と右脳がとてもアンバランスな状態です。これを私は「脳のゆがみ」とよんでいます。
左脳優位になり右脳が使われなくなると、他人に共感する力が弱くなり会話にも支障が出てくると言われています。
メリット➁でも出てきた、コミュニケーション力にも大きく影響することが分かりますね。
右脳を使う機会が極端に少ないと、他人に共感することが億劫になります。使っていない脳を使うので面倒くさく感じるわけです。
<中略>
その結果、他人よりも自分が知っていることを優先してしまう。
そろばんを学ぶことは、学校教育で鍛えにくい右脳の活性化をカバーする役割もあるのです。
メリット④数字や文章を読む際の、情報処理能力も向上する
数字を桁数や行では無くて”映像”として捉えられるようになるため、瞬時に判断してそろばんの珠にアウトプット‥という、情報処理能力も向上します。
文章も速く読めるようになるため、速読にもメリットがあると言われています。
まとめ
そろばんを通して右脳が活性化する理由は、下記3点です。
- 指先を動かすことでトレーニングになる
- 脳も同時に動かしている
- そろばんの珠をイメージして計算するので、イメージ力が養われる
右脳が活性化することで得られる効果・メリットは、以下4つです。
- 記憶力が高められる
- コミュニケーション力がアップする
- 右脳と左脳をバランスよく鍛えられる
- 情報処理能力も向上する
実生活でそろばんを使うことはほとんど無いですが、鍛えられた右脳で得られた効果はそろばんを辞めてからも持続します。
そろばんは単なる計算するためのツールではありません。右脳を鍛え活性化できる、優れたものなのです。







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