子どもの集中力が続かないのには、環境や生活リズムなどいくつか原因があると言われています。この記事では、子どもの集中力が続かない理由や、集中力を持続するための対処法を紹介します。
子どもの集中力が続かない5つの理由
子どもの集中力が続かない理由を、5つ列挙しました。該当するものがあれば取り除くことで、集中力が続きやすくなるかもしれません。
理由①周りが集中できる環境では無い
遊びでも勉強でも何かを行う際に、周りが集中できる環境かどうかを確かめましょう。集中できない環境が1つでもあると、集中力が続きにくいです。
子どもの性格云々よりも、落ち着いて取り組める環境を整えてあげることから始めてください。集中できない環境とは、以下のような場面です。
テレビの音や家族の話し声
集中したい・させたい場合は、テレビの音は必ず遮断してください。余計な情報が耳から入るだけでそちらに気がとられてしまい、目の前のことに集中できません。
また家族の話し声もできるだけ控えましょう。特に勉強であれば皆が集まるリビングでは無く、自室で静かに取り組むのがおすすめです。部屋の間取り上難しいご家庭もあるかもしれませんが、集中させたい時はできるだけ配慮してあげてください。
周りにスマホやゲーム機などを置いている
静かな環境であっても、目につくところにスマートフォンやゲーム機を置いておくのはNGです。
大人でもそうですが、スマートフォンがあるとついついチェックしてしまいますよね。見だしたら止まらないことが多く、どんどん集中できない・・という悪循環に陥りかねません。
スマートフォンの利用に関する調査結果でも、約15%の保護者が「勉強に集中できなくなったり、記憶力が下がったりした」と回答しています。
引用:3.悪影響・トラブルの有無について:家庭等における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用に関する調査結果報告書|東京都青少年・治安対策本部
暑すぎる・寒すぎるなど極端な室温
また集中できない理由として、適切な温度・湿度ではないことも挙げられます。暑い・寒いと感じるだけで集中しにくくなるからです。暑すぎず寒すぎない、季節で言うなら春や秋のような過ごしやすい温度・湿度にしてみてください。
温度計や湿度計を置いて、できるだけ快適な環境を整えてあげましょう。
理由②生活習慣が乱れている
2つ目の理由は、生活習慣の乱れによるものです。心身の疲れは、集中力に対してダイレクトに影響します。
生活習慣が乱れるとは主に、
- 睡眠不足
- 食生活の偏り
これら2点です。
睡眠不足
子どもから大人まで誰でも、睡眠不足は集中力低下の大きな原因です。
よく寝ると頭がスッキリしますが、寝れていないと朝からボーっとしてしまいますよね。そんな状態では、いくら周りが良い環境であっても集中できません。
睡眠不足は、成長の遅れや食欲不振・注意や集中力の低下・眠気・易疲労感などをもたらします。
食生活の偏り
食生活もジャンクフードばかり・栄養が足りない・食事を抜くなど、偏っていると集中しにくくなります。集中力だけでなく健康まで損なわれてしまうので、注意したいところですね。
また文部科学省が行なった調査でも、朝食を毎日食べる・食べないで正答率に大きく差が出たことが分かりました。
引用:図表2-3-8.朝食摂取と学力調査の平均正答率との関係:第3章 生涯学習社会の実現|文部科学省
理由③心が不安定な状態にある
3つ目の理由は、お子さん自身の心が不安定な状態にある場合です。大人であっても、悩みがあると落ち込んだり考え込んだりしますよね。子どもも同じで、心が安定していないと集中できないことが多いです。
友達と喧嘩した
心が不安定な状態:1つ目は、友達との喧嘩です。
仲直りしているのならば問題ないのですが、「あんなこと言わなければよかった・・」・「明日からどう顔を合わせよう」などの心配事があるのも一つの要因です。
先生に怒られた
先生に怒られたりすることも、心が不安定な状態に陥りやすいです。
怒られても引きずらない子ならば良いものの、怒られたことにショックを受けて落ち込む子も少なくありません。
悩み事がある
喧嘩や怒られたこと含めて、いろいろと悩み事を抱えている時も心が不安定になりやすいです。意識が(心に抱えている)問題に向くので、解決するまでは集中力以外にも様々な場面で影響を及ぼします。
理由④そもそも好きなことでは無い
集中できない4つ目の理由は、今からやろうとしていることがそもそも好きなことでは無い場合です。
好きなことなら積極的に取り組めますが、苦手なことは取り組むのにも抵抗があるため集中力が続きにくいのは至極当然のことです。
しかし好きなことでは無いからやらないというわけにはいきませんね。どのように対処すべきかは、次章で解説します。
理由⑤親が横から口を出す
集中できない理由5つ目は、子どもがやっている最中に親が横から口を出すことです。
見ていると「こうした方がもっと良いのに」などともどかしさを感じることもあるでしょう。しかしそこで口を出してしまうと、それだけで子どもは集中力が途切れます。
大人でも集中してタスクをこなしている時に話しかけられたら、その作業が一時的にでも止まってしまいますよね。それと同じです。
子どもの集中力を持続するための対処法9選
子どもの集中力を持続するための対処法を、9つ紹介します。
また以下に記載の対処法は、日常生活の中にも簡単に取り入れることができるものです。子どもの集中力について悩んでいる保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
対処法①気が散るものを周りに置かない
集中できる環境を整えることが重要なので、気が散るものは周りに置かないようにしてください。
子どもが好きそうなゲーム機やスマートフォンはもちろん、次にやるべき課題などもできるだけ置かない方が良いです。「次はあれをやらないと・・」と追い込まれてしまう子もいるからです。
今やるべきことに必要なものだけ置いて、後はすべて目に入らないところに移動するなど対処しましょう。
対処法②15分ごとなど小刻みに休憩を入れる
勉強に限らず遊びでも長時間続くようなら、15分ごとなど小刻みに休憩を入れましょう。
同じことをするとしても、
- 15分ごとに休憩を入れて学習
- 60分間休憩なしで学習
これら2パターンで、集中力の持続時間が異なるからです。
株式会社ベネッセコーポレーションで、中学1年生を対象に行われた「勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験」にて、しっかりとデータにも現れています。
こちらのグラフをご覧ください。
引用:勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験|株式会社ベネッセコーポレーション
60分学習の人(青矢印グラフ)は、45分くらいからを境にして最後の15分間は集中力が下降しています。つまり40分ほどしか集中できていないわけです。
しかし15分ごとに休憩を入れて学習した人たち(赤矢印グラフ)は、休憩したことによりその後のガンマ波が上昇=つまり集中力がアップしたことが分かります。
この結果、短い時間の学習のあとに休憩・リフレッシュを挟むことで集中力を維持している時間を増やし、少ない学習時間でも同等以上の点数を出すことが出来たと考えられる。
<実験結果詳細> ②こまめな休憩は集中力に関係している「ガンマ波パワー」の回復を促し、集中力の維持に貢献すると科学的に判明。
適度な休憩は、集中し続けるのに最適なのです。休憩することは決して悪いことでは無く、むしろ集中力を持続させるには極めて有効なのが分かりますね。
対処法③時間や目標を決めて取り組ませる
3つ目の対処法は、何事も時間や目標を決めて取り組ませることです。何も目的無くダラダラ行うと、集中力は続きません。
まずは「何時までやる」という時間を決めて、計画的に取り組みましょう。この時長すぎる時間ではなく、まずは15分や20分などで充分です。終われば休憩を入れて、また再開してください。
また目標を立てて行うのもおすすめです。最初から大きな目標を立ててしまうと反対に挫折してしまうこともあるので、ここまでの問題は必ず解き終わるなどとすぐに達成できる目標を定めましょう。
目標の達成を積み重ねることで、自信が付き集中する時間も長くなります。やることや日によって集中力の持続にムラが出てしまう子などにも、効果的な方法です。
対処法④悩みがあるなら聞いてケアする
心が不安定な状態にあると集中力が持続しにくいので、悩み事があるなら聞いてケアしてあげましょう。
普段見ていて子どもの様子がいつもと違うな?・上の空だな?と思えば、声をかけてください。話すことでスッキリとする場合も多いですし、必要に応じて具体的にアドバイスすると良いです。
対処法⑤良い睡眠をとる
5つ目の対処法は、良い睡眠を取ることです。
睡眠不足は集中力だけでなく記憶力の低下・イライラ、他にも免疫力の低下やがんリスク増大など様々な悪影響を及ぼします。睡眠を軽視せず、よく眠るように心がけてください。
(中略)睡眠不足によって多かれ少なかれ自分を傷つけています。(中略)睡眠不足はほかにも、高血圧や免疫機能の低下、ガンのリスク増大、風邪やインフルエンザへのかかりやすさにも影響します。また、イライラや記憶力の低下につながることもよく知られています。
睡眠不足は、あなたを最速で危険地帯へと導く“高速道路”なのです。
対処法⑥前向きに取り組めるように工夫・出来たときは褒める
特に勉強だと、イヤイヤなのか・それとも大切だからやるといって取り組むのとでは集中力の持続に大きな差がつきます。
ですので、前向きに取り組めるように工夫しましょう。大人でもイヤイヤやるより前向きにやったことの方が、時間があっという間に過ぎますよね。それと同じで、子どもも前向きに取り組むと集中力が続きやすいはずです。
また出来たときはしっかりと褒めてあげてください。褒めることで自信に繋がり、やる気を引き出すとともに集中して取り組みやすくなるからです。
対処法⑦レベルを下げ、簡単なことから始める
レベルそのものを下げて、簡単なこと・得意なことから始めるのも有効な方法です。
簡単なものでも出来れば、達成感を味わいます。この達成感の積み重ねも自信そしてやる気に直結し、結果的には集中し続けられることが多くなるからです。
ゲームでも難しいものからやってしまうと、諦めて挫折してしまいがち。一旦挫折を味わってしまうと、そこからまた集中するというのはとても難しいです。
対処法⑧横で何も言わず見守る
親が横から口を出すことも、集中力低下の理由の一つでした。何か言いたかったとしても、子どもが取り組んでいる間はグッと我慢してください。勉強はもちろん、遊びでも同様です。
周りから見て集中していなさそう・・と思っても、当の本人は集中していることも多々あります。終わるまでは何も言わずに、見守ってあげましょう。
またスタートするまでに時間がかかる子に対しても、「早くしなさい」などの声掛けは控ええてください。今やろうと思っていたのに!と、せっかくのやる気を削いでしまいかねないからです。
対処法⑨集中力を高める成分が入った食事を取り入れる
最後9つ目の対処法は、集中力を高める成分が入った食事を取り入れることです。
集中力を高める成分の一部です。
- ブドウ糖:脳のエネルギー源
- DHA(ドコサヘキサエン酸):脳や脳細胞を活性化
- 鉄分:脳に酸素をいき渡らせるためにも必要
- ビタミンB群:エネルギー補給をサポート、疲労回復・集中力アップの効果
脳のエネルギー源や、疲労回復・集中力アップに効果がある成分が入った食事を作りましょう。栄養バランスも整いますし、安定した食生活は心身ともに良い影響しか与えません。
ブドウ糖を含む食べ物
ブドウ糖は、脳を働かせるためのエネルギー源です。脳が唯一エネルギーとして利用できる物質なので、積極的に取り入れたいところ。
摂りすぎには注意が必要ですが、ある程度適切な量は摂取しなければ集中力の低下を招きます。集中力が落ちてきているな・・と感じるときは、血糖値が下がっていることも多いです。
参考サイト:ブドウ糖を含む食べ物とは?|サントリーウエルネスOnline
DHA(ドコサヘキサエン酸)を含む食べ物
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や脳細胞の神経伝達を活性化し、集中力以外にも記憶力を高めてくれる物質です。
サバ・さんま・いわし・あじ・ブリ
主に青魚に多く含まれています。魚が苦手な子もいるかもしれませんが、頭の働きをよくしてくれるため上手に取り入れましょう。
参考サイト:DHAを含む食材|マルハニチロ
鉄分を含む食べ物
脳に酸素をいき渡らせる役割がある、鉄分を含む食べ物もおすすめです。
貧血防止にも役立つ鉄分が不足すると、脳そのものもボーっとして集中力が低下してしまいます。
参考サイト:鉄分を多く摂取できる食べ物をご紹介|セゾンのくらし大研究
ビタミンB群を含む食べ物
ブドウ糖が集中力アップに必要な成分でしたが、このブドウ糖をエネルギーに変えるためにサポートするビタミンB群が必須です。特にビタミンB1が欠乏するとエネルギーへの変換がスムーズに行われません。倦怠感や疲労感なども感じやすくなり、集中力低下へと繋がります。
参考サイト:ビタミンB群の働き、多く含まれる食品を紹介|森永製菓のプロテインのポータルサポート
ビタミンB群は不足することで集中力だけでなく記憶力も落ち、脳機能にとって欠かせないものだと小児科医も提言しています。
ビタミンB群が不足・欠乏して貧血(中略)・・その状態が悪化すると、集中力が低下したり記憶力が落ちたりして、認知症状が出ることさえあります。それだけ、脳機能にとってビタミンB群は必須なのです。
まとめ
子どもの集中力の持続は、環境や心の状態にも大きく左右されます。長い時間集中するのは難しいので、まずは時間を区切って取り組んでみましょう。
短い時間であってもしっかりと集中して目標を達成できたら、褒めて自信をつけることも大切です。遊びも勉強も、やる気を促して前向きにチャレンジできるよう配慮してあげてください。
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