そろばんの中でも一番有名な、播州そろばん。兵庫県小野市を中心に作られているそろばんで、兵庫県を代表する伝統的な工芸品の一つです。
この記事では、播州そろばんの歴史を紹介するとともに、なぜ播州がそろばんで有名になったのか?その理由も解説します。
播州そろばんについて知ろう
引用:伝統的工芸品 播州そろばん | 株式会社DAIICHI(ダイイチ)
播州そろばんは、兵庫県南東部にある小野市を中心に製造されている伝統工芸品です。
繊細な伝統技術を駆使した珠の大きさの正確さ(均一さ)や、珠のはじきやすさ・使いやすさはもちろんのこと、見た目の美しさからも『木の美術品』とまで評価されています。
昭和51年6月には通商産業省(現:経済産業省)から伝統工芸品に認定されました。地域の商標団体にも登録されています。
播州そろばん(ばんしゅうそろばん)とは、兵庫県小野市を中心に製造されている兵庫県の伝統工芸品で、1976年に通商産業省(現・経済産業省)伝統的工芸品に指定された[1]。地域団体商標に登録している。
雲州そろばん(島根県出雲市)との違い
引用:雲州そろばんの製作から販売まで|雲州そろばん 協業組合
播州そろばんと並んで、有名なのが島根県奥出雲町で発祥された雲州そろばんです。
どちらも伝統工芸品ですが、播州そろばんと雲州そろばんの違いは何だと思いますか?
ざっくり言いますと
- 播州そろばん・・個人商店や学校で使えるものを製造(一般市民向け)
- 雲州そろばん・・銀行用のそろばんを製造(銀行向け)
同じそろばんでも、用途が違っていたのです。
播州そろばんの歴史
そろばんは日本で発展したものでは無く、室町時代の終わりに中国から長崎を経由して滋賀県大津市に伝わったのが始まりです。
そして豊臣秀吉が1573~1591年に兵庫県三木市にある三木城を攻略した際、一部の民が三木市から大津に逃れて当時発達していたそろばんの技術を習得。学んだあとは帰郷して地元でそろばんの製造をスタートしたのが、この播州そろばんの起源です。
大津市は商業が盛んな大阪や京都にも近いことがあり、もともとそろばんが多く製造されていた町でした。このことからも播州そろばんの源は、大津そろばんとも言われています。
播州(兵庫県小野市)でそろばんが有名になった理由
引用:兵庫県/そろばん
播州(兵庫県小野市)は、そろばん二大生産地のうちの一つです。なぜ播州でそろばんが有名になったのでしょうか。その理由を見てみましょう。
歴史にもあるように、そろばんが伝わった大津市に一部の民が避難して技術を取得後に地元(兵庫県小野市や三木市)に帰ってそろばんの製造を始めました。
江戸時代には寺子屋が日本各地で開設されて、「読み・書き・そろばん」が浸透。そろばんのニーズがさらに高まり、当時そろばんの問屋は8軒・下請けは200軒以上にまで増えました。
日清戦争後には播州(小野市)で大川式製珠機が発明されたことによって大量生産が可能になり、播州でそろばんが有名になったと言われています。
昭和35年にはそろばんの全盛期を迎え360万丁ものそろばんを製造していましたが、電卓の普及やデジタル化などによりそろばんの需要は減少。現在の製造数は年間15万丁ほどです。
農業の閑散期に分業して製造していた
そろばんの製造は当時、農業の閑散期に行なう仕事でした。
農業をお休みしている間に、農家たちがそろばん作りを分業して行なっていたんですよ。
この農家たちの分業により、小野市でそろばん製造が発達・より伝統産業の基礎が築かれていったと言えるでしょう。
播州そろばんの製造工程
当時そろばんは部品を作るのに、それぞれ分業していました。これは今も変わらず、伝統工芸士や製造者がそろばんの部品一つ一つを手作業で製作しています。
その工程は100以上にも及ぶんですよ。ここでは、どのようにそろばんが作られていくのか‥ざっくりと工程をお伝えします。
大きく分けて4つの工程があり、それぞれに職人が居て、そろばん作りが成り立っています。
1.玉削り
そろばんの珠を一つ一つ丁寧に削っていく作業です。
2.玉仕上げ
1.で削られた珠に色を付けて、竹ひご(縦の棒)を通すための穴をあける作業です。
3.桁づくり
竹ひご(縦の棒)を製作する作業です。
4.組み立て
すべてのパーツ(部品)を組み立てて、最後に仕上げる作業です。
製造工程を動画でチェック!
分かりやすい製造動画(小野市)も見つけたので、こちらもぜひご覧ください。
播州そろばんを製作体験できる場所2選
①そろばんビレッジ|オリジナルそろばん製作所
ホームページ | そろばんビレッジ|オリジナルそろばん製作所 |
住所 | 兵庫県小野市垂井町644-5 |
電話番号 | (TEL)0794-63-7089(FAX)0794-62-3530 |
営業日 | 月・水・木・金・土・日・祝日 |
営業時間 | (平日)11:00~17:00・(土日祝)10:00~18:00 |
定休日 | 毎週火曜日 |
予算 | 9桁そろばん:1,800円~ |
所要時間 | 1時間ほど |
駐車場 | 店前に3台分あり |
そろばんビレッジ(製作体験)の特徴
小野市垂井町にあるそろばんビレッジでは、そろばんの製作体験が可能です。
そろばんの珠は11種類、上下板・中枠・ツマもそれぞれ5色あり、組み合わせは自由!自分だけのお気に入りのそろばんを作ることができますよ。
一番小さいものは9桁で、12桁、15桁と3種から選択。9桁は1,800円で、12桁2,300円・15桁は2,800円と格安なのも人気の理由です。
製作時間は1時間ほどで、作ったそろばんは当日持ち帰りOK!すぐに使えるのも嬉しいですね。
播州そろばんの他、数の概念が学べるグッズや計算力が身につくゲームなど商品も販売しています。
➁小野市伝統産業会館
ホームページ | 館内見学|小野市伝統産業会館 |
住所 | 兵庫県小野市王子町806-1 |
電話番号 | (TEL)0794-62-3121(FAX)0794-62-9258(9:00~17:00) |
営業日 | 月~日 |
営業時間 | 9:00~16:00(最終受付) |
休館日 | 年末年始(12/28~1/4) |
料金 | 無料 |
所要時間 | 30分程度 |
駐車場 | あり |
小野市伝統産業会館(実演見学・珠入れ体験)の特徴
小野市伝統産業会館では、職人が行うそろばんの組み立て実演を見学することが可能です。
播州そろばんがどのように組み立てられていくのか?職人の技を間近で観ることができる貴重な場所です。
またそろばんの枠に珠を入れる「珠入れ体験」も可能なので、合わせてどうぞ。
そろばん博物館もあり、昔に使われていたそろばんや海外のそろばんまで展示されているため、そろばんの歴史も学ぶことができますよ。
小野市の特産品も多数展示、お土産も購入できます。
まとめ
繊細な技術をもった職人で一つ一つ丁寧に製作された伝統工芸品で、日本でも誇りの播州そろばん。
播州そろばんの歴史や、なぜ播州(小野市)がそろばんで有名になったかなどがお分かり頂けたかと思います。
小野市に行った際は、ぜひ「そろばんビレッジ」と「小野市伝統産業会館」にてそろばん作りを体験してみてください。
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