そろばんは「時代遅れ」「必要ない」と言われている理由、そろばんの習い事は「意味ない」のか、本当のところを正直にお話しします。
そろばんは時代遅れで必要ないと言われている理由
このページを訪れた人の多くは、そろばんに対して「時代遅れ」「必要ない」「意味ない」など、否定的あるいは懐疑的な意見の方が多いのではないでしょうか。
今でこそ「意味ない」など否定的な意見がありますが、以前は「そろばんの資格を持っている人は、銀行など金融機関への就職が有利になる」と言われていた時代もありました。
取材者 そろばんが得意だと、就職で有利になるようなこともあったのでしょうか?
太田さん もちろんありましたし、履歴書でも大きなアピールポイントになっていました。
(中略)
そろばんに秀でた生徒が誰もが知っている一流商社に就職するようなケースも多かったです。地元の信用金庫などからは、引く手あまたという感じでしたね。
しかし、電卓やスマホが普及した今、そろばんを使えるからといって金融機関への就職が有利になる効果は小さいといえるでしょう。

計算には電卓やスマホがあり、就職にも有利にはたらかないため、そろばんは「意味ない」「時代遅れ」と言われているのです。
現に、みなさんもそろばんを一度は使ったことがあると思いますが、小学校を卒業してから今も使い続けている人は少ないでしょう。

しかし、現在も小学校では算数の授業にそろばんのカリキュラムが組み込まれているのです。
現在も小学校ではそろばんの授業がある
そろばんは「意味ない」「時代遅れ」と言われながらも、実はまだ、小学校3、4年生でそろばんの授業がおこなわれています。
日本の教育の歴史を振り返ると、文部科学省(旧:文部省)が改定してきた小学校学習指導要領の算数の履修要件から、「そろばん」という項目が外されたことは一度もないのです。
文部科学省(旧・文部省)が改定してきた小学校学習指導要領の算数の履修項目から、そろばんが外されたことはない。
令和となった今でも、計算や商売の基礎を学ぶのにそろばんは必要とされており、授業で教えられているのです。
義務教育においては、そろばんは「意味ない」などと考えられていないわけですね。
小学校でそろばんを習う理由
なぜ、小学校でそろばんを習うのか。
それは、「左脳」の占める割合が低い小学生の時期に「右脳」を刺激することで、学力の向上と、社会に出た後に活用できる力を身につけることができるからです。
ただし、授業の時間は限られているため、小学校で習うそろばんはあくまで「さわり」であり、将来の役に立つほどのものではありません。
そろばんが将来の役に立つのは、頭の中のそろばんを使って計算する「珠算式暗算」ができるようになってからです。

そのためには継続的にそろばんを学ばなければなりませんし、1級ほどの級位が必要とされています。
近年、ソロバン教室では、ビジネスパーソンの必須能力として要求されている最先端の「能力トレーニング」を実践しています。これらは、脳が柔軟な子ども時代に身につけさせたい「能力」のひとつです。
そろばんを習うなら、ゴールも必要です。


そろばんの効果(向上する6つ力)
そろばんは、社会に出た後に活用できる力を身につけることができるとお伝えしました。その、そろばんで向上する力について説明します。
日本珠算連盟によると、そろばんには6つの効果があるとされています。
- 注意深く観察する力
- イメージやひらめきの力
- 記憶する力
- 集中する力
- 情報を整理する力
- 速く読み・速く聴く力
注意深く観察する力

引用:日本珠算連盟
そろばんを使って計算するときの数字を観察し、数の仕組みを理解しようとする行動が、そろばん以外において注意深く観察する力につながります。
注意深く観察し、数字を分析する行動は洞察力の起点となり、社会に出ても会社分析などに応用することができます。
一般社会における「会社分析」などは全て「数字で読む」ことから始まります。
イメージやひらめきの力

引用:日本珠算連盟
日本珠算連盟に所属する河野貴美子氏は、珠算式暗算の上級者は右脳を使っているという研究結果を発表しました。
右脳の活性化は問題解決や発明など、イメージや「ひらめき」の力を向上させると言われています。
また、大阪府立大学の林寿郎教授は、指先のトレーニングがシナプスを刺激し、ニューロンネットワークを構築すると述べています。
つまり、珠算式暗算の右脳の活性化や、そろばんによる指先のトレーニングが、イメージやひらめきの力の向上につながるのです。
河野貴美子先生(日本医科大学)の研究発表で、有段者の珠算式アンザンは右脳を使用していることが判りました。
記憶する力

引用:日本珠算連盟
暗算には、右脳を使った「珠算式暗算」と、左脳を使った「算数式暗算」の2種類があります。
右脳を使った「珠算式暗算」は、頭の中にそろばんをイメージして計算する方法のことです。
右脳を使った記憶は、イメージとして記憶されます。右脳によってイメージされた記憶は長期間失われません。
「珠算式暗算」により長期記憶の能力が鍛えられ、記憶力の向上につながるわけです。
一般的に試験などで使用される記憶方法(左脳使用)は短期間で忘れてしまうことが多いのですが、珠算式記憶法(右脳を使用した直観像記憶)は長期間失われません。
集中する力

引用:日本珠算連盟
制限時間に規定問題数を正解しなければならないそろばんの検定試験では、高い集中力が必要です。
上級になれば、ミスが許されない指先の動きは数千回(!)になります。制限時間内にミスが許されないことに集中することで、集中力が向上します。
こうして鍛えられた集中力は、そろばん以外の勉強はもちろん、社会に出ても活かすことができます。
「指先は外に出た脳」と言われていますように、ソロバン学習が指先トレーニングによって脳を育てていることがおわかりいただけると思います。
情報を整理する力

引用:日本珠算連盟
現代人の1日の情報量は、平安時代の一生分、江戸時代の1年分と言われ、情報過多な時代です。今の時代、膨大な情報を取捨選択するのは非常に重要なスキルだといえるでしょう。
そろばんは数字を読み取り、右脳で処理し、左脳で数字情報に変換します。インプットとアウトプットを繰り返すことにより、情報を整理する力を養うことができるのです。
数字をミスなしに速く読みとり、右脳で秒速処理を行い、左脳で正確な数字情報に変換します。インプットからアウトプットまでをソロバントレーニングを通して、情報処理能力を育てていることになります。
速く読み、速く聴く力

引用:日本珠算連盟
「速く読み、速く聴く力」とは、そろばんにおける「読上算」のことを指しています。これは、読み上げられる問題を聞き取り、正しく処理する訓練、計算のことです。
これにより、物事を聞き取ったり、読み取ったりするスピードの向上につながり(いわゆる「頭の回転が速い人」になり)、社会に出ても非常に役立つスキルになります。
ソロバントレーニングの中に「読上算」という種目があります。これは、読み手が読み上げる問題を即座に聞き取り、正しく処理するトレーニングを指します。

そろばんの習い事は本当に意味ないのか
そろばんは計算道具としては時代遅れであり、必要ないといえます。
ただ、そろばんによる右脳の活性化、鍛えられる力と効果を考えると、そろばんの習い事が意味ないというのは早計です。
他の習い事にもいえることですが、習い事で得られるものはひとつだけではありません。そのひとつにしか注目せず「意味ない」「必要ない」というのはナンセンスですよね。
本当の意味が生まれるのは「珠算式暗算」を習得してから
そろばんを習うことに本当の意味が生まれるのは、手元のそろばんで計算ができるようになってからではなく、頭の中のそろばんで計算する「珠算式暗算」ができるようになってからです。
電卓やスマホがあるので、手元のそろばんを使って計算ができても意味ないと考えられることが多いですからね。
また、指先のトレーニングだけではなく「珠算式暗算」もおこなうことで、右脳のさらなる活性化に繋がります(もちろん「珠算式暗算」ができないと全く意味ないというわけではなく、指先のトレーニングだけでも右脳の刺激になります)。
「指先トレーニングが、シナプスの絡みを促し、ニューロンネットワークを構築する」と、林 寿郎教授(大阪府立大学)が力説されています。
「珠算式暗算」を身につけるには、そろばん教室で習うのが一番の近道です。
今は「オンラインそろばん教室」もあり、自宅でそろばんを習うこともできます。
おすすめのオンラインそろばん教室については、下記の記事にまとめています。ぜひご覧ください。

まとめ
この記事ではそろばんの習い事は時代遅れなのか、「意味ない」「必要ない」といわれるけど本当はどうなのかを解説しました。
電卓やスマホが普及した現在、そろばんは計算道具としては「時代遅れ」で「必要ない」といえますが、そろばんを習うことで得られる効果・メリットは非常に大きく「意味ない」ものではないので、一概に「時代遅れ」だとはいえません。
現代のそろばんは単なる計算道具ではなく、右脳を活性化させて分析力・洞察力・発想力・記憶力・集中力などを向上させる道具だといえます。
そろばんは他の習い事と比較して低コストで始めることができるので、コストパフォーマンスにも優れており、気軽に始められるところも良いところです。
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