そろばんのやめどき、そろばんをやめるタイミングを解説します。前向きな理由での「そろばんのやめどき」は、珠算検定1級取得後・頭の中でそろばんをはじけるようになったときです。
ですが、後ろ向きな理由で「そろばんを辞めたい」と挫折する子が多いのも実情。そろばんを長く続けていてもなかなか上達しない場合「もう、そろばんをやめる時期かも……」と悩むケースもあるでしょう。
子供の状況別に、そろばんのやめどき・やめるタイミングを紹介したので参考にしてください。
そろばんのやめどき/やめるタイミング
そろばんのやめどきは、以下2つのタイミングがベターです。
※そろばんがつまらない、難しすぎる、楽しくない、などの心理的要因は除く
珠算検定1級・2級・3級に昇級したタイミング
そろばんやめどきの目安1つ目は「目標としていた級に上がったタイミング」です。具体的には、珠算検定1級・2級・3級に昇級したタイミングを、そろばんのやめどきとするご家庭が多いです。
可能であれば、珠算検定1級合格後をそろばんのやめどきと設定しておくとよいでしょう。珠算検定1級は目安でしかありませんが、そろばん1級レベルになると頭の中でそろばんの珠を正しく弾き、計算、暗算できるとされているからです。
もちろん、頭の中でイメージして計算しても答えが間違っていれば意味がありません。そのため【そろばんの珠を頭の中で弾く+正確な計算・暗算ができる】ようになった後が、そろばんのやめどきです。
「そろばん検定」といっても様々な連盟の検定がある
そろばんで1番有名な連盟は、日本珠算連盟(日珠連)ですが、その他にも全国珠算教育連盟(全珠連)などがあります。連盟によって、同じ1級でも難易度は異なります。
例えば、全珠連の2級は日珠連の3級であるとも言われています。より高い計算能力をマスターするには、日珠連を基準に検定の難易度を選定するのがおすすめです。
そろばん3級以上は履歴書の資格欄に書ける!
珠算検定の資格は、履歴書に記載できます。社会的に認められるのは珠算3級からで、級や段は当然ながら高いほうがより評価が高くなります。
そろばんの先生になる条件は「そろばん検定2級以上取得」
余談ですが、そろばん教室の先生(そろばん講師)の求人募集では「そろばん検定2級以上」を応募条件と銘打っている学校が多いです。
応募資格
そろばん:珠算2~3級程度以上(段位のない方は講師登録後に段位取得をしていただきます。
そろばんを触ったことが無い人がそろばん講師になるのは当然ながら難しいです。最低でもそろばん検定2級以上が評価される基準となっています。
逆に、そろばん講師になるためには、珠算検定以外の資格は不要。教員免許等も必要ありません。「子供が好き」「丁寧に教えるのが好き」など、適正をクリアしていれば指導未経験でも、そろばん講師を目指せます。
中学受験とそろばんの両立が難しくなったタイミング
そろばんやめどきの目安2つ目は「中学受験とそろばんの両立が難しくなったタイミング」です。個人差はありますが、具体的な時期としては、小学3年生の冬~小学4年生あたりが、そろばん教室と勉強の両立が難しくなる頃合いになるでしょう。
※中学受験をしない場合や、そろばん教室と中学受験を両立できそうな場合は前項で述べた「珠算検定1級」の取得後を、そろばんのやめどきとみて問題ないです。
珠算3級・暗算3級以上は中学受験に有利な場合も!
中学受験とそろばんの両立が難しい場合は、そろばんにかける時間を縮小するのもやむなしではあります。とはいえ、そろばんは中学受験に有利に働く場合もあるため、可能であれば珠算3級取得までは継続するのもおすすめです。
中学受験の際に特技として、そろばん検定(珠算検定)や暗算検定1級を持っていると、評価されやすい傾向があります。
特にそろばん検定1級は簡単に取得出来る難易度では無いため、大きく評価されます。ただし、珠算1級を取得するには、平均的に見ても最低で4~5年くらいの期間は練習する必要があります。

そろばんで身に着けた「計算力」「集中力」が中学受験に活きる
そろばんでは「早く正確な計算力」「ひらめき」「集中力」「判断力」が養えます。3桁×1桁、4桁÷1桁、2桁を10回たし算する力の付く「暗算3級」を目指すのも中学受験には有効です。
暗算などの計算問題を解くときには、先生の読み上げや、画面に表示される数字を聞き逃さない、見逃さないなど、集中します。この集中の積み重ねが中学受験のみならず、のちの人生にも大いに役立ちます。
脳トレという言葉が生まれたように、脳を鍛えることの重要性はいつの時代も変わりません。
<参考動画>
*フラッシュ暗算中の「頭の中」*
「そろばん やめたい」の理由と対策方法
子供が「そろばんをやめたい」と言い出したら、まずは「やめたい理由」をしっかり聞いてあげてください。
親としてはせっかく習わせているので、ある程度そろばんを習得するまで継続してほしいですよね。でも子供は親の気持ちを簡単に理解してくれません。
子どものわがままばかり聞いてもいられませんし、親としても「これだけはやって欲しい」という事はあります。
以下に子供がそろばんを辞めたくなる理由と、その対処法を解説します。単純に「そろばんが難しくて分からない」という理由ならすぐに解決策が見つかるかもしれません。
そろばんが上達しないから、やめたい
子供が「そろばんをやめたい」と言い出す理由1つ目は「そろばんが難しくて分からない」「授業についていけなくなった」といった理由。そろばんの難易度の高さが原因の伸び悩みです。
「これ以上やっても上達が見込めない」と感じたときに「そろばんやめたい……」と、やる気がしぼみます。
そろばん教室では、同学年の友達がグングン昇級していくのに対し、自分だけが下の級を何度も落第してしまう……といった、周りとの比較も起きやすいです。
「そろばんが上達しないから、やめたい」の対処法
やめたい理由が「そろばんが難しくて分からない」だった場合は、そろばんをあと半年続けてみることをおすすめします。例えば初めてそろばんを触った子は、何のために珠を動かすのかさえ分かりません。
そろばんの仕組みを理解し、基本的な計算ができるレベルまで上達するには少なくとも半年かかります。気長に続けてみてそれでも分からない場合は辞めてしまうのも一つの手です。ただ、そろばんは、正しい学習方法でじっくり学べば遅かれ早かれ必ず上達します。
あせらず、自分のペースで丁寧に課題に取り組めば道は開けますので「そろばんが上達しないからやめたい」と言い出したときは、まだ、そろばんのやめどきではありません。

そろばんの先生が怖いから、やめたい
子供が「そろばんをやめたい」と言い出す理由2つ目は、そろばん講師と相性が合わないケース。
そろばん教室といっても指導方針はさまざまですので、スパルタ系指導がモットーの校風であったり、先生の性格に難がある場合は、子供が委縮し「そろばんやめたい……」と悩んでしまうでしょう。
「そろばんの先生が怖いから、やめたい」の対処法
子供とそろばん講師との相性が良くない場合は、ちょっと面倒ですがそろばん教室を変えるという選択肢もアリです。何も悪いことをしていないのに怒られる、なんて場合は月謝を払うのもばからしいですよね。
その他、他の生徒とのトラブルがあるなど人間関係のトラブルが生じた場合も、そろばん教室の変更を検討してみるのが良いでしょう。
「そろばんの先生が怖い」といった体験談は、以下の記事でもいくつか紹介しています。あわせてチェックしてみてください。

そろばん教室に友達がいないから、やめたい
子供が「そろばんをやめたい」と言い出す理由3つ目は、そろばん教室に友達がおらず、楽しくないからです。
「友達がいないから、やめたい」「仲良しの友達がいなくなって寂しい」という理由はよくある話。遊びたい盛りの子供が学校帰りにそろばん教室に通うのは、確かに楽しくない日課となるでしょう。
「そろばん教室に友達がいないから、やめたい」の対処法
子供にとっては少し厳しいかもしれませんが、この理由に対しては「そろばん教室は友達を作るために行く場所ではない」と伝えましょう。
そろばん教室だけではなく、学習塾など他の習い事、先の話になりますが進学や就職にも同じことが言えると思います。
そろばんが楽しくないから、やめたい
残念ながらそろばんの練習はとても地味です。子供の性格によっては「つまらない」「楽しくない」と感じる場合もあるでしょう。
「そろばんが楽しくないから、やめたい」の対処法
そろばんが「楽しくないから辞めたい」という理由に対しては、楽しくなる方法を親も一緒に考えてみましょう。
例えば、そろばん教室に通う度にシールをあげてシールがいっぱいになったらプレゼントを買ってあげる、試験に合格したらプレゼントが貰えるなど、ご褒美があると子どものモチベーション維持に繋がるのではないでしょうか。


筆者の家庭では、きちんとそろばんの授業を受けることを条件に、授業日以外は子どもの自由にさせています。
また、子どもと一緒に親もそろばんを始めてみるのもいいかもしれません。
どこが楽しくないかも含めてそろばんの難しさを親も一緒に体験すれば、子どもに寄り添うことができ、そろばんが親子の共通の話題になります。家族の中にそろばん経験者がいると、子どもはとても心強く感じます。
最近は、家にいながらオンライン環境でそろばんを学べるオンラインそろばんも普及しています。お父さんお母さんと一緒に、家族みんなでそろばんを学べる手段はありますので参考にしてください。

そろばんを続けるには?(考え方)
「これからも、そろばんを続ける!」と決断した場合は辞めるまでの目標を作ってあげましょう。
「そろばんを続けさせるために辞めるまでの目標を作る」というのは、少し変な感じがするかもしれません。でも例えば、ゴールがいつあるか分からないマラソンより、ゴールが明確に分かっているマラソンの方が安心しませんか?
習い事を始めるときに、「どういう状態になったらやめるか」ということまで決めておく(中略)そうしないとズルズルと続けることになり、結局ちょっと気持ちが落ち込んだときに「やめる」と言い出してやめる
目に見える目標、ゴールの一つとして「珠算検定」があります。そろばんの本質は、頭の中でそろばんの珠を弾くことによる右脳の活性化です。
そして、頭の中でそろばんの珠を正確に弾けるのは珠算検定1級程度。そのため、ゴール設定の表向きは珠算検定1級を目標にすることによって、以下2つのメリットが得られます。
- 中学受験に役立つ
- 頭の中でそろばんの珠を弾くことができる

筆者が日珠連加盟のそろばん講師と対談した時の話。
「辞めたい子どもがいる時はどこまでやらせるべき?」と質問しました。
回答は「どうしてもという場合は珠算検定3級までは頑張ろうとアドバイスしている」でした。

忍耐や精神論はいい結果を生み出さない
忍耐や精神論は決していい結果に繋がりません。そろばんは日々の丁寧な学習が必要な習い事です。本人のやる気が無いのに続けても意味はなし。「気持ちの持ち方次第」ではどうにもなりません。
一生懸命練習して試験に合格できなかったのは「試験に対する気持ち(努力)が足りなかったから」ではありません。
耐え忍ぶことが本当に美徳でしょうか?子どもに忍耐や精神論は通用しませんし、忍耐の押し付けで子どもの自己肯定感が下がってしまうのは避けたいところです。
特に両親がそろばん経験者の場合は要注意。「私達の頃はこれぐらい練習していた」「私達より努力が足りないから試験に落ちた」などは厳禁です。
もし、子どもに「忍耐」や「親のエゴ」を押し付けそうになってしまった場合は、モンテッソーリの教育法を呼ばれる教育方針を取り入れるといいかもしれません。
教師(大人)の価値観で一方的に教え込もうとするのではなく、子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもが触ってみたい、やってみたいと思う環境を適切に用意し、その環境と子どもを「提示」などによって結びつけ、子どもの自発的活動を促します。
せっかくお金をかけて始めたそろばん。中途半端にやめさせるのではなく、無駄のない投資にするためにも、継続させるための努力、もしくは早期に辞めさせる決断力が必要となります。
そろばんをやめるときは、教室にどう伝えればいい?
子供と話し合った結果、そろばんをやめると決めた場合はなるべく早く、そろばん教室に申し出ましょう。ギリギリの退校申請の場合、次月分の月謝がかかってしまう恐れがあります。
そろばんをやめるとき、そろばん教室に伝える理由は、すべてを正直に話す必要はありません。「家庭の事情で継続が難しい」「経済的な事情で通学が難しくなった」「送迎が困難で……」など、一般的な理由を伝えれば大丈夫。
「子供が楽しくなさそうだった」「先生と合わなかった」など、言いにくい理由は伏せておいてOKです。
そろばんをやめた後の注意点
そろばんをやめたあと、長年そろばんを触らないでいると、珠の置き方、はじきかたを少しずつ忘れてしまいます。
そろばんを触らなくなったあとも計算能力を維持するには、日常で頭の中にそろばんを思い描き、珠算式暗算を用いて加減乗除の計算をしてみましょう。
せっかく覚えたそろばんです。生活の中では「実際のそろばん」を使う機会はほぼなくなるでしょうが、暗算でそろばんの復習を行い、操作方法を忘れないようにしましょう。
まとめ
この記事では、そろばんのやめどき、そろばんをやめるタイミングは何級なのかについて解説しました。
そろばんのやめどきは、珠算検定3級以上(できれば1級)を取得し、頭の中でそろばんをはじく「珠算式暗算」が身についた後がおすすめ。
珠算検定3級以上で次の昇級に伸び悩んだとき、ある程度計算に強くなったと実感したとき、暗算がラクにできるようになったとき、計算力を生活に生かせるようになったときが「そろばんのやめどき」です。
「暗算2級合格後にやめる」「2桁以上の加減算がそこそこスムーズに計算できるようになったらやめる」――など、そろばんを何年続けるかは、子供の負担を考慮して慎重に検討しましょう。
どうしてもそろばんの継続が難しい時は、そろばんを辞めるまでの目標設定をし、子どもの意見・主張も尊重しつつ、親の意見も上手く合わせられるよう、家族でしっかりと話し合いましょう。

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