「そろばんを自宅で教えるにはどうすればいいですか?」という質問をよく頂きます。
この質問の質問者は、下記のどちらかのパターンに当てはまります。
- 習い事の費用をできるだけ抑えたい
- 保護者自身がそろばんを習っていたので、子どもに教える方法を知りたい
そろばんを自宅で教えるのは「あり」か「なし」かで言うと、やり方をしっかり身につけているのであれば「あり」です。

ただ、誤ったやり方で教えてしまうと変な癖がついてしまい、あとで苦労することになるリスクがあります
この記事では、子どもにそろばんを自宅で教える方法、自宅練習の方法、学習教材の選び方をご紹介します。
そろばんを自宅で教える条件
前述のとおり、そろばんを自宅で教えるのは「あり」だと私は思っています。
正確には「はじめは自宅で教えてもいいが、難易度が高くなればそろばん教室で習うべきだ」というのが私の意見です。
なぜ、はじめは自宅で教えてもいいのかというと、はじめにそろばん教室で学習すること(ご破算のやり方、両手の配置、指の使い方、珠の弾き方など)は、ネットや市販の教材で調べれば、すぐに答えが見つかるからです。
また、はじめはやり方に大きな違いもありません。なので、はじめからそろばん教室で習う必要はないのです。
しかし、そろばんの難易度が高くなるにつれ、教える労力と時間が多くなります。自宅で教えるには負担が大きくなりすぎるので、高い難易度のそろばんは、そろばん教室で授業を受けたほうがいいでしょう。

そろばん教室であれば教える手間がかからず、そのぶん自由に使える時間が増えます。とくに、手のかかる幼児のころは教えるのが大変です
いつからそろばん教室に通うべきか
そろばん教室に通うとしたら、いつからそろばん教室に通うべきなのでしょうか。
よく耳にする意見は、下記の2つです。
- そろばん初心者のときから
- 子どもであれば5歳頃(年長くらい)から
そろばんは、そろばんのことを全く知らない状態から始めるといいといわれています。初心者だと変な癖がなく、覚えやすいからです。
そろばんを自宅で教えるのは「あり」か、という話にも関係しますが、独学で学んで悪い癖がついてしまうと、その悪い癖がなかなかなおらず、そろばんの上達に悪影響を及ぼす可能性があります。
5歳頃になると会話のキャッチボールができるようになります。そろばんの授業を受けることができるようになるわけですね。
そして、脳の成長は10歳頃までが著しいと言われています。右脳を活性化させる効果のあるそろばんは、なるべく早く始めたほうが、より効果的であるともいわれています。
さらに、筆算や簡単な暗算(珠算式暗算ではなく普通の暗算)ができるようになると、そろばんの目的である珠算式暗算を身につけにくくなるというデメリットもあります。
計算ができない頃、5歳頃(年長くらい)からそろばんを始めると、そろばんによる計算方法を最初に学習することになるため、そろばんの考え方を身につけやすいのです。
お子さんが5~6歳になってからそろばんを始める方が多いです。
5~6歳というと、幼稚園・保育所では年中さんから年長さんくらいですね。
この時期にお子さんにそろばんを習わせると、小学校に入る前に数字に慣れさせておくことができます。

いつまでそろばん教室に通うべきか
「いつからそろばん教室に通うか」も大切ですが、反対に「いつまでそろばん教室に通うか」も費用を抑えるために大切なことです。
そろばん教室を辞めるのは、頭の中でそろばんの珠を正確に弾くことができるようになってから、いわゆる「珠算式暗算」ができるようになってからが理想的です。
珠算式暗算ができていない状態でそろばん教室、あるいはそろばんそのものを辞めてしまうのは非効率ともいえます。

珠算式暗算を身につけるには、4~5年ほどかかるといわれています。
卒業の時期を分類すると
中学受験をするお子さんは、早めの幼児期から小学校4年生まで。
中学受験コースは週6日3,4時間が当たり前ですから、
時間が取れなくなってしまいます。
珠算式暗算ができるようになれば、自宅学習だけでも大丈夫です。検定試験などの問題を解きましょう。

そろばんを自宅で教えるときの注意
教室に通い始める時期、辞める時期など、そろばんを習う期間についてお伝えしました。
ただ、そろばん教室に通うのではなく、そろばんを自宅で教えたいというひともいるでしょう。それも正解です。
そこで、そろばんを自宅で教えるときに注意するポイントをまとめました。
- 変な癖がつかないように、正しいやり方を学んで教える
- 学習時間、学習できる空間など、子どもが継続して学習できる環境をつくる
- 親の仕事、家事、育児などと並立できる環境をつくる
変な癖がつかないように気をつけるのはもちろん、子どもと自分自身が継続できる環境が用意できているかに注意する必要があります。
自宅で教える場合、そろばん教室とは違って「いかに継続できるか」がポイントになります。なあなあになって、そのまま学習しなくなってしまうというケースも少なくないので、教えられる側だけではなく教える側も継続できる環境を整えることが大切です。
そろばんを自宅で教えるときの自宅学習方法
そろばんを自宅で教えるときの学習方法、自宅学習の方法を紹介します。
- ネットや購入した教材を参考に、そろばんの基礎を身につける
- 足し算九九、引き算九九、合成分解など、必要なスキルを身につける
- 桁数を増やして練習問題を繰り返す
- 掛け算・割り算に挑戦する
- 小数点に挑戦する
そろばんを自宅学習する場合、上記の順番で進めることになります。
そろばんの基礎というのは、珠の役割、ご破算のやり方、左手・右手の置く位置、鉛筆の持ち方、珠の弾き方などのこと。掛け算・割り算は両落とし、方落としなどですね。
自宅で教える場合は、そろばんの基礎と知識を正しく身につけるように意識しましょう。
とくに、最初の足し算、引き算、掛け算、割り算の初歩的な問題を正しい解き方で解いていないと、「3桁の計算」や「間に0のつく3桁の数字の計算」などの引っかけ問題に対応できない可能性があります。
そろばんのレベルが上がるにつれ、自分がどこで間違ったのか、何がいけなかったのか気づきにくくなります。そうして壁にぶつかったときが、そろばん教室を視野に入れるタイミングです。

そろばんを自宅で教えるときにオススメの学習教材
そろばんを自宅で教えるには教材が必要です。資格取得が目的であれば、日珠連から販売されている教材がおすすめです。
以前、現役のそろばん教室の先生にインタビューしました。

その際に、使用している教材を教えていただきましたので、ご紹介します。

これらの問題集のシリーズをお求めの方は、朝日プリント社、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング
などのECサイトで検索してください。
また、日珠連から販売されているものではありませんが、問題集ではなく、おすすめの入門書もご紹介しますね。
いちばんわかりやすい そろばん入門
「いちばんわかりやすい」と題されているだけあって、とてもわかりやすいです。上級者が使うテクニックも解説されており、掛け算・割り算は、暗算ができるようになる方法で解説されています。
段位の取得や、そろばんだけではなく暗算もできるようになりたいという、これからそろばんを自宅で学びたい方におすすめの一冊。
かならずわかる! はじめてのそろばん
子ども向けの本で、とてもわかりやすいと評判の一冊です。
対応しているのは3級までなので、ひとまず3級までを目標としている方におすすめです。
そのほか、そろばんを始めるのに必要なものは下記の記事をご覧ください。


そろばんを自宅で教えるメリット・デメリット
そろばんを自宅で教えるメリット・デメリットをまとめました。
- 費用が抑えられる
- 送迎の手間・時間がかからない
- 先生・生徒間のコミュニケーションの心配がない
- 月謝がかかる
- そろばんを正しく学べない可能性がある
- 教える手間・時間・知識が必要
- 私生活と両立できる環境づくりが必要
- それでも継続できない可能性が高い
こうしてみると、金額面以外にメリットは少ないように感じますね。
私としては、月謝を支払ってそろばん教室に通ったほうが、結果的にそろばんの上達が早いと考えています。
今では、自宅でレッスンを受けられるリモート形式のそろばん教室もあります。時間や場所が比較的自由に選べて、そろばんを正しく学習することができるので、そうしたサービスを利用するのも良いでしょう。

まとめ
この記事では「そろばんを自宅で教えることで、習い事の費用を抑えたい」「保護者自身がそろばんを習っていたので、子どもに教える方法を知りたい」という方に向けて、自宅でそろばんを教える方法、自宅練習の方法、おすすめの学習教材、メリット・デメリットを紹介しました。
やり方をしっかりと身につけており、はじめの頃だけであれば、自宅でそろばんを教えるのは「あり」です。
そろばんのレベルが上がるにつれ、教える側の手間・時間の負担が大きくなります。教わる側が壁にぶつかるときもあるでしょう。そのときが、そろばん教室に通うことを視野に入れるタイミングです。
ただ、やはりベストなのは、まだ計算ができない5歳頃から、そろばん初心者のまっさらな状態でそろばん教室に通うことです。上達が早いケースのひとつです。
とはいえ、それぞれメリット・デメリットがあります。自宅の環境や子どもの性格など、合っている方法を選ぶのがいいでしょう。
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